【米国】「銀行秘密法」下のカジノ規制

近年オンラインカジノ業界でも問題となっているマネーロンダリングですが、アメリカ合衆国においては年間100万ドル以上の利益を得ているランドカジノにて、特定の取引を報告し、米国内国歳入庁(IRS)金融犯罪捜査網のマネーロンダリング対策に協力しなくてはなりません。

「第31編」としても知られる銀行秘密法は、カジノにおける違法な銀行業務を暴くために作られました。日々、巨額のお金がテーブルゲームやスロットマシンなどにつぎ込まれています。アメリカ当局は何としてでもお金の流れを規制し、いかなる不正も阻止する方法を考案しなくてはなりませんでした。

この記事では第31編が何を表し、どのようにカジノ事業に影響を及ぼすかについてお伝えしていきたいと思います。

第31編とは?

第31編は、連邦規則集第31編 金融犯罪捜査網第5条のことを指し、それはBSA(銀行秘密法)に権限を与える成文化された規制です。多くの人はこの法律をマネーロンダリング防止法であるとみなしています。金融犯罪捜査網の局長はBSA追従の実行責任を担っています。1990年に、財務長官によって金融犯罪捜査網が設立され、その後2002年に財務省の公式局となりました。

この法律はほとんどの業界に適用されますが、カジノやギャンブル業界との関連が最も大きいといえます。この法律に基づき、カジノは10,000ドルを超える全ての個別取引を24時間以内に報告しなくてはなりません。1つ1つの報告には、取引を行った人の写真付き身分証明書と社会保障番号が含まれなければなりません。

なぜ銀行秘密保護法が必要なのか?

この法律は1970年にさかのぼって、金融犯罪やマネーロンダリングを未然に防ぐための対応として設立されました。BSA(銀行秘密法)は、アメリカ合衆国の銀行を使って、不正行為を働いている犯罪者やテロリストを暴くために定められたものであると言えます。この法律によると、銀行は全ての取引を報告、記録、そして保管しなければなりません。

第31編は、国家と国民を守るために作られた法なのです。基本的に、第31編は、窃盗やマネーロンダリングを見極めるなど、危険な金融犯罪を阻止・防止するために作られたものであって、一般市民を規制するためのものではありません。

以前は、銀行以外はこの規制に従う必要がありませんでしたが、2001年にカードクラブやカジノを含むすべての金融施設にまでその追従範囲が拡大されました。1990年、財務長官は、金融犯罪捜査網を設立するにあたっての目的は、秩序を正し、金融犯罪を防止することとにあるとしました。

銀行秘密法:カードクラブやカジノの遵守事項・要件

この法律によると、カードクラブやカジノに1,000,000ドルを超えるゲーム収益がある場合、第31編に従うことが義務付けられています。他方で、収益が1,000,000ドル以下の場合、カジノやカードクラブ施設はこの法律を無視することができますが、その場合でも「第26編」と呼ばれる別の規則に従う必要があります。

さて、銀行秘密法に焦点を絞ると、ギャンブル施設は、CTR(通貨取引報告書)やSARとよばれる疑わしい取引報告書を保管し、記録を整理保存しておく必要があります。これらの報告書は、個人が10,000ドルよりも大きい額の取引を行った場合、毎回電子的に整理保存されます。